2002年10月12日
和泉かねよし Vol.3/2002年10月12日
こんにちは、和泉です。新しい連載はじめました。まだかいている作者自身が不安でいっぱいですが、読んで下さるとうれしいです。
と、普通なら新連載の宣伝で終えるところなんですが、雑誌で読めるものをわざわざかくこともないなあ、とも少し思ったので別の話を。
みなさんは、美容院(つーと、おばはん臭がしちゃうけど)で思ったことが言えますか?私は言えません。そのために店を出て、またすぐ別の店へ入って切り直してもらう、というのを何回かやったことがあります。
あほか。と思われるかも知れませんが、美容師の満面ピースな笑顔「いかがですか?」に「全然よくねえよ!!」とは言えないのです。つい、うすら笑いを浮かべて「うん、軽くなったみたい」と訳の分からない感想を述べてしまいます。まがりなりにも、相手はプロ…自分よりはセンスがいいはずなんだから…。
だけど。だけどです。美容師の腕というのは客筋に影響されると感じたことはありませんか?私が以前通っていた店をやめたのは、この理由からです。
その店は20代の兄弟2人で経営しているセンスのよい店でした。私もその噂を聞いて通い始めたように記憶しています。ところが、田舎の悲しさ、狙っていた客層よりもずいぶん年上の…有り体に言うなら、おばさんサロンに気付けばなっていったのです。そしてそのセンスにあわせているうちに…。
最後にカットしてもらった日のことは今でも忘れません。2000年をむかえようというのに、ブロー吹き荒れ、そしてバブルの嵐も吹き荒れていました。
サーファーカット…。皆さんはそんな言葉を覚えていますか?私はつぶやきました。
「波の数だけ抱きしめて…(中山美穂主演のバブルがブクブクいっちゃている映画)」
美容師はピースな笑顔で言います。
「いかがですか?」
「いいわけねえだろ!!!!!!」
…とは、やっぱり言えませんでした。ノミのハートを持つ自分がつくづくやになって、半泣きになりながら店を出ました。
漫画のキャラクターの髪型を決めるため、カットブックを見る度にあの日のことを思い出します。いつしか美容師漫画をかいてやると心に誓いながら…。